輪になって話す、聞く、サークル 〜大日向小学校体験記4〜

2019年10月29日

近谷純子 2019年12月執筆

大日向小学校での時間割を大雑把に書くと、こうなる。
ただし、我が子は4年生と6年生なので、あくまでも上学年(4年生~6年生)バージョンとして。

8:30-8:45 サークル
8:45-10:15 ブロックアワー
10:15-10:45 あそび・おやつ
10:45-12:15 ブロックアワー
12:15-13:15 おひるごはん・あそび
13:15-14:40 ワールドオリエンテーション
14:40-15:00 サークル

今回はこのうち、サークルについて。

ある日の時間割。この日は水曜日のため、午後の時間がなく、13時の早帰り。

朝のサークル

サークル。つまりは輪。みんなで輪になって話す、聞く。これが大日向小学校でのあらゆる活動のベースになっている。各クラスルームには、円形に置かれたベンチがある。

8時頃から登校してきた子たちはそれぞれの朝時間を過ごし、8時半になったらクラスルームへ戻り、各自の机の前ではなく、まずはベンチに座り、朝のサークルがはじまる。つまりは朝の会。もちろん出欠確認の場でもあり、大事な朝。

20数人、お互いにみんなの顔が見れるっていいんだろうなって、素直に思う。話している子の顔も見やすいだろうし、聞きやすいだろう。話すほうも、いちいち席を立ったりイスをしまったり、床をギーギーさせなくて済む。

フクロウサークル?

二学期のある日の朝。上学年のクラスルームをのぞいたら、何やら6年生が箱を開けていた。話をリードしているのもどうやら6年生。

「自由サークルか掃除サークルか。どうするー」

先ほど開けていた箱は、朝のサークルのテーマを募集する投票ボックスだったらしい。

「自由サークル」。それは難しそうだけど! 自由かあ、音楽サークル(みんなで歌ったり笛を吹いたり。先生がウクレレで伴奏してくれることも!)は前日にやったし、ほかに何かある??

ぺちゃくちゃ。

で、どうやら「掃除サークルは?」と話が進んだもよう(私は廊下にいたので、教室内の様子はよく見えるものの、すべての声は聞こえなかった)。「みんな掃除は嫌がるけど、ちゃんとやったほうがいいと思う」という至極まっとうな意見も漏れ聞こえてくる。

へえ、と思っていると、なんだかまた雰囲気が違ってきて…… フクロウがどうのこうの。フクロウよろしく、首をぐるっと後ろにまわして笑ってる子がいたり。似てる似てるー。最後にはゲラゲラ笑って「あー、フクロウサークルたのしかったなー。またやろー」と言いながらあっという間に各々の席へ。

あまりの訳のわからなさ(と可笑しさ!)にあとで先生に聞いたら、その日はたまたま6年生がサークルをリードしてくれる日で、6年生発案でテーマも前日からみんなに募っていたそう。で、投票ボックスに入っていたものをとりあえず全部取り上げつつ6年生が司会していたら、最後はクラスにフクロウが大好きな子がいて、フクロウについてみんなで語りたい!ってなったんです、と。

子どもたちも先生も明るくて、なんていい一日のはじまり!

ちなみに、前述のように音楽サークルの日もあれば、”真面目な”テーマの日もあるようだ。上学年のクラスでは「ふつうってなに?」というビデオを見て、各自がホワイトボードになにやら真剣に書き込んでいる姿を見たこともある。下学年(1~3年)にも「うそはついてはいけないの?」「夜はどうしてこわいの?」などの哲学サークルの日があるそう。ときどきそうした時間の様子についてのおたよりが出るのだが、子どもたちの、一つひとつの意見がたまらない。

10分、20分の時間だが、おそらくその積み重ねは大きなものとなるだろう。そしてその短時間こそ、先生たちも勝負、というか、きっとスリルいっぱいで、かつ最高の喜びの時間なんだろうなあと勝手に思っている。

下学年のサークルのようす。

次回は、ブロックアワーについて。

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